作品紹介


東日本大震災そして福島第一原子力発電所の事故。有機農業を推進してきた豊かな土地をもつ福島県の大半が放射能で汚染されてしまう。2011年の作付け禁止を受けた多くの浜通りは土地が荒れ果て、春の水田には一度も水が引かれる事は無く、秋も黄金の稲穂で埋め尽くされることが無かった。また、作付けが許された仲通りや会津地方の土地でも収穫された農作物につきまとう汚染の問題は、福島中の農家を苦しめ続けている。
しかし、多くの福島の農家は土地を捨てなかった。事故後、福島第一原発の終息のメドがついていない状態でも、土地に残り、汚染と戦い、汚染と生き、放射能汚染の土壌を回復させ次の世代へ残すことが福島の農家の責任として、体を張って取り組んできた2011年。「被害者が加害者になる」というリスクを放射能汚染の恐怖以上の重みとして抱えながらも、食の安全と、消費者からの信頼を取り戻すため、代々受け継がれてきた福島の土地に残り、田畑を有機的に耕し続ける福島の農家達。多くの消費者が懸念する汚染されているかもしれない「福島産」の農作物。それを真正面から受け止め、様々な方法で作物への汚染の移行を防ぎ、収穫された作物の汚染値を計測して消費者へ公表し続ける。福島の土地に降った汚染と土地と農作物の関係を学び、回復と再生に励む農家達。ベクレルモニター、ゲルマ二ウム半導体をいち早く使用し、福島の農産物を独自で測定してきた福島の有機農家達が見いだし始めた希望。長年有機的に耕してきた土壌に育つ農作物へ、放射能汚染の移行を低減させる効果があり、多くの農作物が「不検出」という検査結果を出してきた。しかし、不検出でも「福島」という言葉で販売が出来ない多くの農産物。この問題に取り組む福島の有機農家さん達のあらゆる努力と、農作物に移行しない現象を多くの角度から検証し、確立させ、その促進よって、農家さん達が福島の土地を再生させ、「ふくしま」の復興を目指す姿を記録に残し、世界へ発信して行く。

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