南相馬市小高区に自宅と大きな有機の田んぼに畑を持つ根本さんご夫妻は、昨年の大震災による福島第一原子力発電所の事故で、昨年3月からずっと避難生活をしています。今日この日、4月16日、警戒区域内の一部が解除され、小高区をはじめとする一部の警戒区域内の住民が自由に戻れることになりました。一泊はまだできませんが日帰りならば許されている根本さんのお宅へ伺いました。昨年は検問があり入れなかった「立ち入り禁止」のサインを横目にあっという間に中へ。この日が解除の初日とあり、入ってすぐに、住民のみなさんが庭を掃除したり、草が伸びきった庭を歩いている姿をあちらこちらで見かけました。根本さんの自宅を見つけるために、見かける住民の方へ声をかけながらの訪問。そこで出会う多くの人は、これまでの怒りや、悲しみ、やるせなさをまるで訴えるかのようにたくさんの話をしてくれました。「住民の声が反映されていない」と嘆く方々。「解除されても戻れない」という人たち。一方根本さんは、水もなく、一泊もできない自宅へ戻れたことをご夫妻で本当に喜んでいました。これまで、多くの方から「家へきて農業をやらないか?」「こちらで耕さないか?」とオファーがあったそうです。でもそれをすべて断り、原発12キロに位置する自宅へ戻ってきたのです。何十年と培てきた自分の有機の田んぼや畑に、どんどん入り、土を触り、草を抜く根本さん。それに寄り添うように手助けする奥さん。撮影機材を持ち、後から追って行こうと岡をあがった2人の後ろ姿が本当に美しく、また生きる意味を醸し出していて涙が止まりませんせんでした。
April 30, 2012
by Junko
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