April 30, 2012
by Junko
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南相馬市の解除された警戒区域内へ。

南相馬市小高区に自宅と大きな有機の田んぼに畑を持つ根本さんご夫妻は、昨年の大震災による福島第一原子力発電所の事故で、昨年3月からずっと避難生活をしています。今日この日、4月16日、警戒区域内の一部が解除され、小高区をはじめとする一部の警戒区域内の住民が自由に戻れることになりました。一泊はまだできませんが日帰りならば許されている根本さんのお宅へ伺いました。昨年は検問があり入れなかった「立ち入り禁止」のサインを横目にあっという間に中へ。この日が解除の初日とあり、入ってすぐに、住民のみなさんが庭を掃除したり、草が伸びきった庭を歩いている姿をあちらこちらで見かけました。根本さんの自宅を見つけるために、見かける住民の方へ声をかけながらの訪問。そこで出会う多くの人は、これまでの怒りや、悲しみ、やるせなさをまるで訴えるかのようにたくさんの話をしてくれました。「住民の声が反映されていない」と嘆く方々。「解除されても戻れない」という人たち。一方根本さんは、水もなく、一泊もできない自宅へ戻れたことをご夫妻で本当に喜んでいました。これまで、多くの方から「家へきて農業をやらないか?」「こちらで耕さないか?」とオファーがあったそうです。でもそれをすべて断り、原発12キロに位置する自宅へ戻ってきたのです。何十年と培てきた自分の有機の田んぼや畑に、どんどん入り、土を触り、草を抜く根本さん。それに寄り添うように手助けする奥さん。撮影機材を持ち、後から追って行こうと岡をあがった2人の後ろ姿が本当に美しく、また生きる意味を醸し出していて涙が止まりませんせんでした。

April 19, 2012
by Junko
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長野県で上映:高校生が映像から感じた福島。

長野県伊那北高校で、映画の一部を上映してきました。在校生800人ほど、保護者や一般の方も交えての上映会と公演。上映後、多くの質問をしてくれた高校生たち。下は、彼らからの感想です。 2 感想の一部 (生徒より)  ・映像を見て、福島の農家の方々の現状をテレビ番組などで見るより現実的でより自分達との距離が近いように思った。それは、制作者の目線から自分も福島へ行っているような感覚になったからだと思います。また、日本人以外の目線、異文化の目線を通した意見を聞けて、国外の方も日本のことを真剣に考えてくださっていることが心に響きました。福島の方々は思っていたより強くて、放射線とどう付き合っていくかということで頑張っていた。そういう方に対して自分達も偏見や誤解を持ちたくないと思う。福島の方々、梶野さん、エドワードさんの意志の強さ、また生きるということの意味を、ほんの一握りかもしれませんが吸収できたと思います。(2年生)  ・震災が起こって多くの方々が亡くなり多くの方々が被災地で今も大変な生活をおくっているのに、私にできることはほとんどないという無力さをいちばん初めに感じました。時間がたって今感じていることは、どんなに被災者の方々の生活の辛さを想像してみても想像でしかないこと、「同情」止まりであるということです。結局同情止まりだから、被災地で処理に困っている瓦礫も他県は人々の反対で受け入れない。政府もうまく回っていない。情報だって信じられない。日本自体が嫌でした。でもそう冷めてしまうこともいけないことだとはわかっています。今日映画を見て、また「福島の人の視線をできるだけ映したい」という言葉、「次の世代のために土地を立て直すのは大人のやること」という農家の人の言葉で、冷めてはいけない、もっと自分から情報を得て考えなくては、と感じました。(3年生)  ・福島の事故から本当に暗い気持ちになり将来への強い不安を感じていました。福島の農業も打撃を受けて、国も頼りにならず、どうなってしまうのかと思っていました。しかし映画を見て、農家の人達の強い意志と生きる力に心を打たれました。福島や被災地の復興には、国のような大きな力だけでは足りなくて、一人一人の力が一番重要なのだと感じました。これからの日本の将来についてまだまだ希望を感じることができました。(3年生)  ・福島原発の被害によって農業をやめて避難しなければいけない農家の方の話している映像はとても印象に残りました。「避難しない」という人が、「子供が来れる環境を自分達がつくらなければならないから、避難することはできない」と言っていたことがとても印象に残りました。私は将来放射線技師になることを目指しているので、放射線のことは少しは知っていて、やはり放射線は危険なものだとは思うけれど、でもリスクを負ってでも自分が農業を守らなければならないという強い意志を感じられました。危険だから避難する、農業ができなくて生活ができないから政府がお金を援助する、ということも大切かもしれないけれど、もう少し農家の方の気持ちや意見を反映した方がいいのではないかと思いました。映画を見させていただいて、福島のことを伝えようとしている姿はどこかかっこよかったです。3月11日から1年以上経った今、まだまだすべきことはあると思うので、自分で考えてなにか助けることができたらいいなと思いました。(2年生)  ・今まで、原発の近くに住んでいる方たちの「生」の声をあまり聞いたことがなかったし見たことがなかったのですが、今回の映画を観て原発の近くに住んでいる方たちはこんなに努力しているんだと思いました。多くのリスクを負ってもそれでも強く自分たちの生き方をつらぬいていく方々は本当に強い心を持っているなと思いました。私は絵を描くのが好きです。だから芸術系の大学に進もうと考えています。だけど私はただ「絵が好き」というだけで、将来何をしたいのかよく分からないし、どうして絵を描くのか分からなくなることがあります。でも今回梶野さんたちが制作された映画を観て、絵を描くのが好きな自分に一体何ができるのか、何をしたらいいのか少し分かったような気がします。(3年生)  ・福島では3月11日の原発事故で農作物に多大な被害を受け、農家の方々は絶望の中で生きていることだと、今日まで思っていた。しかし、自分が思っていたこととは真逆であり、「希望」に満ちていることを映像を通して知ることができた。自分はそのような経験がないため、なぜ「希望」に満ちてのかがよく分からないが、自分が思うに、前へ進んでいくことで程遠い復興であるが後世に何かプラスになることを1つでも多く残そうという農家の人々の共通の思いであると思った。(1年生)

April 8, 2012
by Junko
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耕して汚染に取り組む。

作付け制限と食品の新しい汚染基準値 今月から福島。有機農業ネットワーク主催の全国集会と福島視察のイヴェントに参加。400人近くの方々が全国からこの福島に集まり、福島県の農業者がどのように汚染と取り組んでいるのかを実際に見て、農家さんと話して、そして参加者が福島の食材を試した2日間。作付け制限地域のコメ農家さんは、畑に大量のゼオライトをいれ、深く耕し、農業用水の管理とコントロールをし、昨年汚染が出た果樹園さんは、リンゴやナシ、柿木の木肌を剥ぎ取り、高圧除染をする。この作業をしてまで農業を福島で継続する価値。そして彼らの汚染を下げるための努力。 日本の消費者は、ただ単にスーパーに売っているものを買って食べればいいのではなく、食べ物を育てる側への理解と共感を持ち、農産物の向こう側を感じ取れる消費者となってゆかねばならないこと。これが今いう、復興につながる重要な鍵だと痛感した。福島での2年目の撮影に入り、有機ネットワークさんの事務所に滞在しながら多くの農業者や彼らにかかわる人々に会う機会を得ている。耕すことで汚染を下げ、農を営み続ける福島の有機農家さんたちの今後は容易くない。しかし、そこには大きな希望となるだろう種が芽生え始めていることも確かだと思う。